AEW アール・ヘブナー、ローデス家との関わりについて語る



長くアメリカンレスリングを見ている人間にとって、レフェリー アール・ヘブナーというのは象徴的な人物の1人だ。なんといってもあの有名なモントリオール事件で王座移動を宣言したのは、誰でもないこの人だからだ。



そのキャリアは40年にも及ぶ。WWEに無断でマーチャンダイズ行為、PPVで使用した椅子などを販売していたとして解雇された後は、インパクト・レスリングでレフェリーとして活動をした。そして、今年からはAEWのPPVで主にレフェリーをしている。同時にまだ若いレフェリー達にレフェリングを始動する場面もあるようだ。


彼の長いキャリアにおいて、ローデス家との関わりは切っても離せないものとなった。

▼"アメリカンドリーム"ダスティ・ローデス
80年代、まだWWEの改名前であるWWFが全米の覇権を握る前、つまり、北部AWA、東部のWWF、南西部のNWA加盟団体と勢力が分かれていた頃、ヘブナーはダスティ・ローデスがブッカーをしていたクロケット・プロモーションで活動をしていました。

当時のアメリカンプロレスと言えば、その日の収益を分配するという仕組みになっており、ブッカーというのは単純に選手を呼んできて試合を組むだけではなく、どうやって客を飽きさせず、集客をするかまで任されていた存在であり、食べさせてもらっていたというのはあながち間違いではないだろう。

彼はその頃、まだ小さいコーディとトラックに乗って移動したことがあると話します。その頃からコーディ、ローデス家との関係は密接に続いていきます。

彼がWWFでデビューしたのは、88年2月のWWFメインイベント(現在のレッスルマニア)。ハルク・ホーガンvsアンドレ・ザ・ジャイアントのWWF世界ヘビー級選手権で、本来レフェリーをするはずだった本物の双子の兄デイブ・ヘブナーをロッカーに押し込み監禁したアンドレのマネージャーだった"ミリオンダラーマン"テッド・デビアスがアールを買収。ホーガンの肩が上がっていたにも関わらず、アンドレに3カウントを入れるという疑惑のレフェリングをし、ロッカーから抜け出したデイブと大騒動を巻き起こすという、極めて重要で、アメリカンプロレスの神髄とも言えるエピソードで華々しくデビューしたのだった。

▼WWE上級レフェリー、TNAでの活動
その後もWWEにおいて重要な試合といえば、ヘブナーの仕事だった。いわゆるアメリカンプロレスの作法とも言える攻撃に巻き込まれて失神するレフェリーのお手本と言えば、この人といっても過言ではない。

同時に様々な事件にも巻き込まれた、先のモントリオール事件はその最たるもので、彼とカナダ人の間には大きな溝がある。WWEを解雇された後、TNAへ移ったのはインパクトレスリングに変わる前、ホーガンやフレアーなど共に時を過ごした人間が多くおり、解雇された彼をヘルプしてくれたのだ。

2017年インパクトレスリングを離れた後は、年に数回、大きなイベントに招聘され、レフェリーを続けているが、流れが変わったのはALL INでNWA世界ヘビー級選手権をかけニック・アルディスとコーディの試合を捌いた時だっただろう。

一度はインパクトレスリングに移り、離れたローデス家との関係が急激に戻っていった。

▼ヘブナーから見たコーディー
コーディに対し、「彼がどのように進歩し、成長したのかを見るのは本当にすごいことだ。彼は父ダスティの足跡を辿り、彼のステップはダスティそのものだ」と褒め讃えました。

WWEという一強時代が20年近く続き、インパクトレスリングですら打ち勝てなかった一方で、WWEではないプロレスというのを模索し続けてきたのは他でもないアメリカインディの世界でした。

WWEを離れたコーディがそこに触れたことで父と同じくプロモーター、ブッカーとしての活動を始めるということは、ヘブナーにとっても喜ばしいことだったと言えるのだろう。

また、ヘブナーにとってAEWというのは顔なじみが多いリングでもある。ショーン・スピアーズの父としてセコンドにつき、絶妙なインサイドワークを見せるタリー・ブランチャードはクロケットプロモーション時代の最初の大きな試合で捌いたうちの1人で、ダスティン・ローデスやアーン・アンダーソンなど同じ時代を過ごしてきたレスラーもコーチ兼出演者として顔を揃える。

彼の役目は、彼の持つ技術を若きレフェリーに伝えることである。

実際に、AEWのレフェリングに対する様々な意見は聞こえているらしく、タッグでの介入が多過ぎることや10カウントが遅いという改善点を述べた。おそらくこれらはじきに修正されることだろう。


もう1つ、面白い話を加えるとすれば、AEWをよく見るファンなら女性レフェリーの存在を知っているだろう。彼女の名はオーブリー・エドワーズなのだが、実はかつてガール・ヘブナーというニックネームでレフェリーをしていたのだ。パロディだったはずが、本物と出会い、そしてメジャークラスのレフェリーになったというのは今後のレスリング業界にとってもストーリーが繋がっていくことになるだろう。

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