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2019年11月10日日曜日

ラム会長アイスリボン参戦 -一人の女子レスラーが生まれた日-

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あなたは、暗黒プロレス組織666という団体を知っているだろうか。666という数字の並びがどういうものか、というのは、プロレスに詳しい人でなくとも映画やサブカルチャー好きなら分かるだろう。まぁ、つまり、新日本プロレスのような全うなものではないプロレスというわけだ。
しかし、それはこの団体を代表する選手である怨霊選手の評価にも当てはまる。2000年4月、新日本プロ レスで開催されたスーパーJカップという団体の垣根を越えてジュニア選手が集う大会に、レッスル夢ファクトリーというどインディーの代表として出場。白塗 り、動けばエクトプラズム(と称される龍角散的な白い粉)が舞うというキャラ先行の見た目とは裏腹に、しっかりとしたレスリングとインサイドワークで、あ のカレーマンと激戦を展開し打ち破る金星を見せた。

666という団体も要素としてそういう部分を大いに含んでおり、試合の撮影禁止、SNSへの書き込み禁止というこの時代背景を全く無視した決まり事はまさしくカルトの手法である。その他の試合もなかなかに放送禁止 レベルなのだが、メインの試合は特に何らかのメディアに載せることが出来ないような事が発生してしまうため、拡散が禁止されているわけだ。だが、その一方 で、666はシングル、タッグ両方で日本のデスマッチプロレスシーンを支える宮本裕向や忍など多彩で職人肌の名レスラーを多数排出している実はしっかりし た団体でもある。



▼ラム会長に求められた女子プロレス

そんな666から一人の女子レスラーが生まれた。彼女の名前はラム会長。ロングの黒髪に白塗り。目と唇は黒く塗られた、666の象徴であり頂点はこの人である。当時小学生ながら大人達を得意のチョークスラムでなぎ倒してきた彼女がレスラーになった。
い や、書いている今でも「なった」という言葉が適当なのかは分からない。何故なら、彼女がリングの上で躍動し、ロープの間を回転して619を放つ様を見てき た。相手に攻撃されて受け身を取る瞬間だって見てきた。何も知らない素人がレスラー相手にお茶を濁しているわけではないことを知っているからだ。
だけど、あえて「なった」と書こう。今までにもワンマッチで他団体に参加することはあったが、そうではなくなったのだ。
6.6 新木場1st RINGで行われた666の興行のメイン後、アイスリボンに所属する星ハム子、宮城もちにアイスリボン参戦をお願いされるや、なんとアイスリボン代表であ る藤本つかさとのシングルを要求。これにアイスリボンの佐藤社長が承諾し、突然の他団体参戦が決まったのである。
指名された藤本つかさは困惑、ネットで調べても、撮影禁止、SNS禁止のため、全くどんな試合をするのかが分からないのである。さらに、ラム会長は「女子プロレスの戦いに付き合う気はない」と発言。なにより女子プロレスの凄さを信じる藤本の心をかき乱してみせたのだ。
6.30 アイスリボンのリング上、幾分緊張した面持ちのラム会長だが、なにせいつもの白塗りに、今回の参戦に合わせて新調したボンテージ&ガーターベルトモチーフ のコスチュームが、激しくも明るいアイスリボンの中で一際際立って見えた。試合序盤は藤本の攻撃をすかすようなそぶりを見せたものの、試合が進むにつれ、 藤本の攻撃を真っ向から受け、もうダメかという場面も肩を上げてみせる様に、どんどん観客も引き込まれていく。

▼ラム会長の姿に重なるのは、あの時の怨霊

そう、リングに上がり、プロレスをしている時の間、佇まい、試合運びがスーパーJカップで新日本の客を沸かせたあの日の怨霊を思い出させるのだ。最後は極楽 固めで敗北するも、アイスリボンへの定期参戦をぶち上げ沸かせてみせた。実際に試合を見たアイスリボンのお客さんも、最初はキャラ先行と思っていたのに、 びっくりしたと語るほどに、彼女は女子レスラーになっていたのだ。
この記事で取り上げたのは、そんなノスタルジックだけではない。この数回の記事でAEWの発足に伴い激動するマット事情に触れているが、特に激しくなっているのは、実は日本の女子プロレスなのだ。
WWE はこの数年、女子選手の試合内容の向上を計ってきた。ウィリアム・リーガルという生きた教科書を女子選手の指導に当て、90年代までは華やかさ重視だった 女子の試合を一変してみせた。さらに、日本から当時フリーだったASUKAを輸入。その後、カイリ・セイン、紫雷イオと立て続けに日本トップの選手を引き 抜いてきた。先日、日本に来日した実質的なトップであるトリプルHが若手のホープであるSareeに接触したことも明かしている。

一方、AEWはケニーが直接、女子選手を担当しており、世界はまだ見た事の無い独創的な”ジョシプロ”を世界に輸出すると名言。これまで行ってきた試合に日本人女子選手のいる試合を組んできた。
世界的な市場において、日本の女子プロレスを経験してきた選手というものの価値が非常に上がっていると言える。試合数が豊富で、基礎的なトレーニングがきちんとされていて、キャリアの長い選手は既に独自のカラーを持っていることが評価されている。
日 本の女子プロレスというのは構造的に、かつての全日本女子プロレスと日本女子プロレスの流れを汲んでいる。男子で言うなら、新日か全日かといったところ か。時折、FMWやK-DOJOや大阪プロレス、DDTといった男子の団体の中から所属の女子選手が生まれることはあったが、その人達も戦いの場を求める と、女子プロレスの団体の中に組み込まれていくという流れになる。

▼ラム会長と女子プロレス、そして世界への接点

ここで、話を少し戻してみよう。ラム会長と定期参戦を表明したアイスリボン、そして今話した世界の市場というのは、実は一本の線で繋がっているのだ。
ラム会長は2009年に1度引退をしている。その年の8月に同じく2005年に同じ小学生レスラーとしてデビューし、アイスリボンで活躍していた里歩と対戦し、ちびっ子レスラーが途絶えてしまう危機を訴えたという事があった。
時は巡り、里歩はアイスリボンを離れ、師匠であるさくらえみと共に世界各地を飛び回る日々。そして、先日、さくらと作った我闘雲舞を退団、フリーとなるや AEWに参戦、その後も台湾やタイでの試合が決まっており、”世界のRiho”の呼び名の通り、まさに今、その動きが注目されている最重要人物といえる。
これまでWWEに呼び込まれた選手と違うのは、彼女が天性のアイドルレスラーであるという点だ。姿の可憐さだけでなく、試合のスタイル、技の華やかさ、ただ トップにいるのではなく、人としての愛らしさなども持ち合わせてなければアイドルレスラーとは呼べないが、里歩はまさしくそのものである。
里歩がいなくなった日本のリングに現れたのは、真逆の属性、漆黒に染まったゴス少女ラム会長………里歩にとっては古巣であり、フリーになった今、制約無く上がることが出来るであろうアイスリボンにラム会長がいるのは運命の悪戯なのか、それとも何かのきっかけなのか。
もし、この注目される日本の女子プロレスの中で、万が一、この繋がりに導かれ、ラム会長まで見つかってしまったら、世界のゴシックファン、ボンテージファン までも巻き込んでブームを巻き起こしてしまう危険性が考えられる。これまでコンプライアンスの面から表立ってこなかったラム会長だが、強烈な追い風が吹い ている、と言える。









藤本つかさvsラム会長のダイジェストはこちらから見れます。
衣装がかわいい…ゴスロリではなく、ヨーロッパのゴス、ボンテージ文化の文脈で作られてるのが非常に丁寧………

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