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2021年6月16日水曜日

AEW:Forbes誌ロングインタビュー、トニー・カーンが語るWWEとの戦争「レスリング・ビジネスは長い歴史の中で今が一番熱いんです」

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AEWの若干38歳のCEOは、ビンス・マクマホン率いるWWEい20年以上ぶりの真の脅威をもたらしました。これは億万長者vs億万長者の戦いの内側です。

ジャクソンビル・ジャガーズの黒いポロシャツ、腕を組み、サングラスで目を隠したトニー・カーンは、自身が運営するオール・エリート・レスリングの最新のプロモビデオで茶目っ気のある、威圧感のない笑みを浮かべていました。彼はAEWに対する最大のライバルであるWWEが新日本プロレスとの提携に向けて交渉中であるとの報道に反応しました。WWEの新社長であり最高収益責任者であるニック・カーン(なお、無関係)を攻撃し、毎週TNTで放送する「Dynamite」と5月30日に開催されたPPVを前に、注目を集める好都合な口実としました。



トニーは「レスリング・ビジネスには、1人のカーンしか入る余地はない。それは私、トニー・カーンであり、コネチカットの詐欺師ではない。」とビデオの中で揶揄しました。

プロレスビジネスは当然、そうしたあざといマチズモの上に成り立っているが、2019年にAEWを立ち上げて以来、積極的に競争相手にトラッシュトークをすることは避けてきた。彼自身のベビーフェイスの性格のせいか、動画で彼の口調はパイルドライバーというよりかは舌打ちのように聞こえた。彼は早々にほくそ笑まない方が賢明であろう。AEWは、過去40年間に渡り、ビンス・マクマホンのWWEに挑戦してきた他の選手たちのような悲惨な運命を避けようとしながら、2年間の穏やかな成長の後、まだ初期の成長の痛みをけいけんしています。しかし、すでにプロレスにとって大きな影響を与えています。

カーンは、父親であるジャクソンビル・ジャガーズのオーナー、シャヒード・カーンから1億ドル(日本円にして111億円、ちなみに、新日本の資本金が9250万円)とも言われる大規模な投資を受けて、AEWをスタートさせました。TNTで放送された最初の3ヶ月間で十分な成功を納め、ワーナーメディアと4年間で1億7500万ドルの契約を結び、水曜日の夜にDynamiteを放送することとなりました。Dynamiteというタイトルは、四半世紀前に彼が中学生のノートにエピソードをスケッチしていた時に選んだ物です。この2時間番組はマクマホンのWWEに真っ向勝負を挑み、プロレス界の勢力図を揺るがし、8月からはさらに毎週金曜日、新番組をスタートさせます。



トニー・カーンはAEW Dynamiteの首謀者ですが、自身を番組のキャラクターにしないことを約束しています。マクマホンが長年に渡って統治してきたかつてのプロモーションについて、「過去の"空白"のプロレス会社にはなりたくない。我々は過去のプロレス、現在のプロレス、未来のプロレスを愛しています。」と明かします。

痩せた統計学者で、不敵な笑みを浮かべるカーンは、マクマホンを鉄のチェアーで叩き潰すつもりはないようだが、プロレスへの情熱は熱い。イリノイ州シャンベーンで育った10代の頃は、インターネットのプロレス掲示板の司会をしたり、大人になってからも、"マッチョマン"ランディ・サベージのコスチュームを着る事で知られていました。その間、彼は自身が愛したエンターテイメントを再構築するチャンスを待っていたのです。

1982年という年は、カーンが生まれた年であり、マクマホンの父がワールド・レスリング・フェデレーションの株式を買収したのと同じ年で、運命的であったのかもしれない。当時、プロレスは基本的に地域密着型のビジネスであり、各団体は互いの境界を尊重していました。

しかし、コネチカット州スタンフォードに本拠地を置き、北東部を支配するマクマホンは、この紳士協定を破り、全米、ひいては世界的な人気を独占する事を目指しました。WWFをUSAネットワークで放送し、ジェシー・ベンチュラやロディ・パイパー、最も有名なハルク・ホーガンなどタレントを他の地域から冷静に引き抜いた。1990年代には、億万長者のテッド・ターナーが経営するワールド・チャンピオン・レスリングが最後の真剣勝負の相手となり、「マンデーナイト・ウォーズ」で何年もWWFの視聴率を圧倒していました。しかし、2000年に入ると、WCWの優位性が失われ、AOLがタイム・ワーナーを買収した際に、不振に陥っていたプロレス事業を捨てたのです。マクマホンは2001年にたったの430万ドルでこれを買い取り、ついに誰もが認めるチャンピオンとなり、それ以降、事実上、プロレスの独占状態を維持してきました。

2000年当時、WWFの番組には毎週2000万人の視聴者が訪れていました。2002年に世界自然保護基金との訴訟を経て、社名を変更したWWEは法外な放映権料とオンデマンド・コンテンツのおかげで今ではより多くの収益を上げていますが、Showbuzz Daily社によると、昨年の平均視聴率は500万人以下まで落ち込んでいると見られています。

カーンは「WCWが破綻したことで、我々が参入して成功する余地が出来たのでよかったと思いますが、レスリング・ビジネスにとってはかなり暗い時代になってしましました」と語りました。

カーンは、マクマホンが征服したレスリング・ビジネスを見て学び、父はたとえ理解が出来なくても、その情熱を後押ししました。父シャヒード・カーンが息子の情熱に最初に投資したのは、1996年8月、WWEがその7年後に吸収したハードコア・プロモーションであるエクストリーム・チャンピオンシップ・レスリングで、フィラデルフィアの汚いアリーナに父と息子で出かけたことでした。13歳のカーンが入学試験を受けて、イリノイ大学のラボラトリー・ハイスクールに入学することが決まったご褒美でした。

「父は、自分が見ているものが信じられなかったようです。「これはアンダーグラウンドのロックショーとカルト教団を混ぜたようなものだ」と言っていました。」

カーンはイリノイ大学に通いながらWWEを見続け、バイオ燃料会社で働き、父がNFLオーナーになるという夢を追いかけている間、時間を稼いでいました。2012年にジャガーズを買収した父はフランチャイズの分析部門の立ち上げをトニーに託し、2015年には所属するイングランドのサッカーチーム「フラム」でも同じようにアナリストの役割を与えました。

2018年、クリス・ジェリコ、コーディ・ローデス、ケニー・オメガといった元WWE、レスリング・ビジネスのトップ選手が年内にフリーエージェントになることを知ったカーンは、飛びつくチャンスだと考えました。彼に必要だったのは、レスラーを雇い、AEWの基礎を築くための数千万ドルだったのです。パキスタンからの移民であり、自力で自動車部品を製造し、推定80億の資産を持つ父シャヒードはしぶしぶ承諾しました。

シャヒードはこう明かします。「いいアイデアだとは思いませんでした。ですが、トニーにはこう言ったんだ「いいか、私が死んだら、お前と妹に大金を残すことになるでしょう。私が行きている間に、その一部をすっ飛ばしてくれないか」とね。」



2016年に退団するまで9年間をWWEで過ごしたローデスは、2018年の秋にジャガーズの試合でトニー・カーンと初めて会いました。WWE殿堂である故ダスティ・ローデスの息子である彼は、新しいプロレス・プロモーションをナイーブな夢を聞く事には慣れていましたが、NFLスタジアムのオーナーズ・スイートで売り込みを受けたのは初めてでした。カーンはその後、スタッフを当時ローデスが契約を結んでいた新日本プロレスに送り、最終確認を行い、サインすれば翌日には小切手が届くと約束をし、その約束はその通りになりました。

AEW副社長の1人となったローデスはカーンに対してこう言います。「彼が厳しい事を言わずに、堂々としているのを見るのは、本当に特別なことです。プロレスラーは口だけ(All talk)ですが、彼は歩くだけ(All walk)なんだ。」

AEWのスタントや派手な演出は、水曜日のTNTに平均100万人の視聴者を集めています。

WWEの元アナウンサーであり、タレント部門の幹部であるジム・ロスを含む十分な名のあるタレントを揃えたカーンは、売るべき商品を持っており、AEWの2019年元旦の放送開始から4ヶ月後にはTNTで放送するためにワーナーメディアと試験的な契約を結びました。Dynamiteは2019年10月2日に初放送され、2020年1月に1億7500万ドルの延長に合意、2023年末まで番組を放送、毎週3時間のコンテンツの計画を含む形となりました。5月には8月3日から新番組「Rampage」が初放送、FoxでWWEの「SMACKDOWN」が放送終了した直後の毎週金曜日午後10時からスタートします。さらに、2022年1月には2番組はTBSに移行、TNTでは年に4度のシャペシャル番組が放送されることが決まっています。

TNT、TBS、truTVのジェネラル・マネージャーであるブレット・ワッツは「私達が正しい道を歩んでいる事は明らかでした。世界最大のプロレスリーグに挑戦し、チャレンジャー・ブランドになれるかどうか試してみたい、という大胆な発想を持つ人がいるとしたら、それはとても勇気のいることです。そして、彼はそれを成し遂げたのです。」と答えました。

昨年、AEWはTNTから受け取った4,375万ドル(日本円で48億)が収益の最大の割合を占めていますが、上場しているWWEは2020年に9億7,400万ドルの収益を記録した事に比べれば、四捨五入の誤差です。それでも、AEWのペイパービューやチケットの売上げは伸びており、新参組は財源の足しになるでしょう。カーンは今年のレスリング部門は黒字になると予想していますが、ビデオゲーム開発への8桁の投資により、当面は赤字が続くと思われます。



ほとんどの競争相手と同じように、ビンス・マクマホンも最初はAEWに脅威を感じていないようでした。2019年7月に行われた和ナリスとの電話会議で「TNTが"Blood and guts and goly things(血と根性とグロいもの)"に我慢するとは思えない」と述べ、最新の競合相手の名前を出す事もありませんでした。Dynamiteのデビューに向けたプロモで、コーディ・ローデスはこの発言がレスラーの情熱を蔑ろにしていると示唆し「もし、お前が俺達を"血と根性とグロいもの"だと言うなら、俺はお前のケツを賭けて俺達は"血と温情とグロいもの"だと言う」とアンサーしました。その後、AEWはこのフレーズを商標登録し、5月5日にはDynamiteで「Blood & Guts」のエピソードを放送しました。

WWEの最初の反撃は惨めに失敗しました。2019年秋に人気だったNXTをプレミアムWWEネットワークからUSAネットワークに移行したものの、水曜日の視聴率争いに破れ、2021年4月に火曜に後退しました。それ以来、Dynamiteの平均視聴率は100万人近くを推移しており、WWE月曜の旗艦番組である「Raw」の約半分近い視聴数を誇っています。



WWEは「ミスター・マクマホン」を中心に展開していますが、カーンはソーシャルメディアでたまにプロモをする以外は、カメラに写らないようにしています。ローデスによると、AEWにはWWEのようなライタールームはなく、リング上でのプロモは台本無しで行われているといいます。放送開始から2年が経過、視聴率の54%が50歳以下でWWEにおける視聴者の割合よりも大きくなっています。

「この番組はソープオペラのようには書かれていません。トニーは世界最高のレスラー達を雇い、彼等が誰であるかを変える事はありません。」

しかし、WWEは"Wednesday night battle"に負けたとしても、戦争には勝っています。2020年にマクマホンはWWEネットワークからNBCのストリーミングサービス「ピーコック」にコンテンツのライブラリを移す契約を結び、AEWが四半期ごとにイベントを行うのに対し、毎月少なくとも一ヶ月に一度ペイパービューを開催しています。毎年春にはフットボールスタジアムを埋め尽くす程の盛況ぶりです。

WWEはパンデミックの影響を受けずに済んでいます。この春、WWEは約200人のレスラーのうち20人以上を解雇しましたが、その中にはAEWと契約を結んだレスラーも含まれます。予算の削減から、75歳のマクマホンが会社を売却する準備をしているのではないかという憶測を呼んでいます。

一方、AEWはジャガーズのTIAAバンク・フィールドに隣接するデイリーズ・プレイスという円形劇場でパンデミックの間もDynamiteを開催していました。7月にはマイアミ、ダラス、オースティンでショーを再開し、各会場で1万人以上のファンを楽しませる予定です。



マクマホンは2011年の「Battle of Billionaires」でドナルド・トランプに破れ、頭を剃った事で有名ですが、カーンはレスラーに戦いを任せています。彼はマクマホンのように20年間プロレス界を支配するよりも、マンデーナイト・ウォーズの全盛期を再現したいと考えています。カーンの考えでは、AEWのファンとTNTが満足するのが重要で、WWEの存在は心配していません。

カーンは、AEWのプロモで見せた演技とは裏腹にこう言います。「1つのプロレス会社だけでなければならない理由はありません。レスリング・ビジネスは長い歴史の中で今が一番熱いんです」

Forbes

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